「まこ〜!今日もがんばりや〜!!」
今日も元気に、そうだまことくんのママが門のところで手を振っている。
まこちゃんは真っ赤になりながら、ママのところへ走っていく。
「そんなん風によばんといてって、ゆうたやんか!!」
「なにゆうてんの?まこはまこちゃんやろ?」
「やめ〜〜〜〜いっ!!」
クスクスと周りのおともだちが、笑う。
「まことくん、男の子なのに『まこ』なんて、女みた〜い。へんなの!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!うっさいわ!!!」
ここのところ、毎日こうやってからかわれているのだ。
それがまこちゃんには耐えられない。
ムカツクやつらだ!!
思わず、昨日は手がでてしまった。
そうしたら、今まで傍観していた園児まで、からかいの輪に入るようになってしまった。
暴力だけのガキ大将は嫌われるのだ。
別に、みんなが嫌いなわけじゃない。仲良くしたいのに、どうしてみんなは自分のことをからかうんだろう・・・。
まこちゃんは悲しくて仕方がないが、ついつい強い口調で口答えしてしまって・・・。
「そんなこというなよ」
まこちゃんをいじめるおともだちに、ひかるくんが仲裁に入った。
わいわい言っていたこどもたちが急に押し黙る。
「みんなだって、家でちゃん付けでよばれてるよね?」
「・・・・ひかるくんも、おんななまえだから、おんなどうしなかよくすればいいんだ」
と一番の悪ガキ君が言う。
本当は、ひかるくんに急に間にはいられて困ってしまっているのだけれど。
ひかるくんは、吃驚したようにその子をじっと見つめた。
「いとこのおねえちゃんも、ひかるっていうんだもん・・・」
「でも、ひかるは男だし、まこちゃんだって男なんだから。勝手にいってればいいよ。ね、まこちゃん?」
ひかるくんは、まこちゃんの手を引いて滑り台のところへずんずんと歩いていく。
「ひ、ひかるくん・・・」
「全然おかしくないよねえ。ひかるもよく女の子の名前っていわれるけど、そんなの関係ないもんね。僕達は男の子なんだし。」
だから気にすることないよ、とにっこり笑うひかるくんに、そうだまことくん、生まれて初めてのトキメキを感じた。
数日後、かれは岬せんせいに、『大きくなったらひかるくんをお嫁さんにする!!!』と可愛い宣言をするののだった(笑)。