時事ものシチュ〜
「なー、みてみて!食堂のおばちゃんからあられもらちまった♪」
部屋に戻った松山は、嬉しそうに色とりどりの丸い粒粒がつまった袋をかざして、日向にみせた。
「今日ってひな祭りだもんな。俺らにはかんけーねーとか思ってたけど、やっぱ、雛あられ貰えるとちょっと嬉しくねえ?」
「そーか?」
「えー、じゃあお前食わねえのかよー。俺、一人で食っちまうぞ!」
松山はそう言うと、『あかりをつけましょぼんぼりにぃ〜♪』などと、例の歌をくちづさみながら、袋をあけると、あられを口に放り込んだ。
「うおー、なんか超、ひさしぶりなんだけどコレ!ウチでもねーちゃんの人形かざってるのかなぁ・・・」
ぶつぶつと独り言をいう松山に、日向が近付く。
「なんだよ、やっぱり欲しくなったんだろー」
「ちげーよ。それより今日は何の日か知ってるか?」
「あのなぁ。だからひな祭りだろ、ひな祭り!」
「残念でした」
日向は突然、松山の耳にかぶりつく。
「ひゃあっ!な、なんだよっ」
思わずびくりと体を竦ませる松山を、引き寄せると、耳を口に含んだまま呟いた。
「3月3日は耳の日だろ。ということでサービス」
「ちょっ、や、やめろって!!!」