ほら、まただ。
背中に視線を感じて振り向くと、俺にガンつけるでもなく、ただじっと何かいいたげにみている。
前からヤツに意味も無く睨まれたりすることは、割とあったがこんな視線は今回がはじめてだ。
俺が気付いて松山の方を振り向いても、それはそらされることはない。
「なんか用かよ?」
「いや、別に」
かといって、言葉をかけると本当に興味なさげにぷいっとその場を去ってしまう。
なんだっていうんだ松山は?
俺の背中になんかついてるとでもいうのか?
・・・・・・・・そういえば、最近肩が重いよな・・・・って、昨日みんながみていたTVの心霊特集でもあるまいし。
こういうやりとりが続くと、気の長いほうでもない俺はだんだんと苛ついてくる。
翌朝、朝飯を食っていて、またしても背中に視線を感じた俺は、とうとう怒鳴ってしまった。
「おい、いいたいことがあるんならはっきりいえよ!」
わいわいとしていた朝の食堂が、俺の一言で水を打ったように静かになる。
怒鳴られた張本人の松山は、俺の顔をみたまま平然と、おかずの卵焼きを口に運びながらこういった。
「別にねえけど?」
あまりにも飄々としたその言い方に、怒りの持って行き先がなくなってしまう。
遅れてやってきた若島津が、食堂の静けさと立ち上がっている俺に気付き小走りで側にくる。
「また、なんかアンタはしたんですか?」
「なんで俺なんだよ」
「だって、みんな日向さんみてますよ」
言われてまわりを見回すと、ほかの連中は俺をずっとみていたのか、慌てて目線をそらせるようにメシをくいはじめた。
憮然としながら、仕方なく俺も残っていた朝食にハシをつける。
ったく、なんだっていうんだ?何の用もねえやつが、あんなふうにしょっちゅう人の事みるもんか?
先程の顛末を反町がぼそぼそと若島津に話しているのが、断片的に耳に入る。
「日向さんが、いきなり松山に怒鳴ってさ───」
それじゃあ俺が悪いみたいじゃねえか!!
お膳から顔をあげ、向い側に座ってた反町を睨み付ける。
「だってー、いきなりだったじゃないですかぁ〜〜!!別に松山、日向さんになんかしたわけでも言ったわけでもないのに〜〜」
「確かに・・・いま聞いた限りでは、日向さんが勝手にキレたって感じだけど・・・。なんかあるんですか?」
「え?ああ・・・・。まあな」
ぽつりぽつりと、松山の視線を感じる───という話を二人にした。
話の途中あたりから、反町と若島津がニヤニヤとしはじめる。
「・・・・・んだよ?」
「いや、日向さんと松山っておもしろいなぁって」
「なにぃ?」
おもしろいだと?
余計にナニがなんだかわからなくなってくる。
「松山が、昨日『わかんねーけど日向が俺のことじっとみるのが、わけわかんねー』って岬に相談してましたよ」
「はあ?みてんのはあいつなんだぜ?」
「まあ、二人でちゃんと話し合っておいた方がいいんじゃないですか。今後のタメにも。大事なFWとMFがこんな状態じゃまとまるものもまとまんないですからねえ」
「・・・・・・・・」
話し合うっていったってなぁ。
「日向さん」
「あん?」
「気付きました?」
「ナニが」
「ずっとさっきから反町が、後からじっとみてるの」
「え?」
そういや先刻まで向かいに若島津といたはずの反町がいない。若島津に促されるままに振り向くと、反町が松山の横でてをひらひら振っていた。
「日向さんが気付く視線って、松山のだから、なんですよねえ」
「・・・・それはあいつが睨んでるからだろ」
「そういうアンタもよく松山みてるってこと、わかってないの本人だけなんですよねえ」
ほんとわけわかんねえ!!!
ああ、わかんねえよ!!!
とにかく、今日練習が終わったら、松山とサシで話をしよう───。
ということで、このあと大告白大会に突入でしょうか(笑)。なんとなくどっちもどっちで、自分達の気持ちに気付いていない二人にしてみました。
実際、松山君が日向さんに対して「恋愛感情」あるかどうか、この時点ではあるといいきれないけど(爆)、その場のノリで日向さんいっちゃってほしいっすね。(なにを・・・)
(01.08.11)