天の川に乗っかって |
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![]() 文:松岡広子さまvvv
天の川に乗っかって 松山光様 ある日、俺宛に1通の葉書が届いた。 差出人を見ると、[東邦学園高等部 若島津 健・反町一樹]と書いてあった。 葉書は往復葉書になっており、内容を確かめるべく開くと 壮行会の案内状だった。 主役は日向小次郎 イタリア行きが決まり、「Jrユースで共に戦った仲間達を交え〜」と記載されてあった。 俺と日向は仲が良いという方ではない。 顔を合わせれば、何かにつけて言い合いになり 結局最後は、殴り合いの喧嘩になったりするのだ。 念願のイタリア行きが決まり、祝ってやりたいとは思うのだが 折角の壮行会をいつもの喧嘩で台無しにしたくはないし そしてほんの少し、いきたくないなぁ〜という気持ちもあり 俺は欠席”に○をし、一応諸事情につき〜と最もらしい欠席理由と 祝いの言葉を書き添えて、ポストに投函した。
そして、壮行会当日。 今頃は出席に○をつけた者達が東邦学園に集まり 盛大な壮行会が執り行われていることだろうと思われる時間。 俺は監督の許可を貰い、部活が終わってからも自主練に励んだ。 ただ、何も考えずサッカーだけに集中していたかった。
壮行会があったことなど忘れかけてたある日、エアメールが届いた。 差出国はイタリア・・・。 差出人は・・・日向小次郎と書いてあった・・・。 「はぁ?」 俺は呆気にとられ、・・何で日向から手紙なんかくんだ??それとやけに重い・・と 頭に?マークを飛ばしながら封を切った。 封をきりながら、もしかして壮行会に出席しなかったから 悪態がいっぱい書かれてるんじゃないかと、一瞬頭をよぎる。 開けた所から覗いて見ると 白い便箋が一枚、それと細い紙切れのようなものが一枚入っていた・・そして・・・ 「はぁ〜?なんだこれ?」 紙だけでこんなに重いはずないと、“重い”物の正体を確かめるべく 中身を出してみたら、意味不明な物が出てきた。 「鍵が二本に・・やっぱどうみてもこれ・・指輪だよな??訳わかんねぇ〜???」 鍵にはそれぞれタグみたいな物がついていて 一本は“家”と書いてあり、もう一本は“イタリア”と書いてあった。 なんでこんなもんが送られて来るんだ?っていうか送る相手間違えてないか?と 思ってしまう。 取り合えず、手紙を読めば解るかもしれないなぁと思い 俺は、便箋に目を通すことにした そして、そこに書かれていた文字を読んで俺は不覚にも固まってしまった。 便箋には、簡単で素直な告白と、正直な心音だけが綴られていた・・・。 好きだ 俺が俺らしく、有りの儘でいれるのは松山、お前が居てくれるからだ 「えっ!?・・なっ・・!#&$#%*@??・・どういうことだよ!?」 余りにも意味不明な言葉が書かれてあり、思わず声が上擦ってしまった。 俺は頭の中がパニックになり、手紙と中に入っていた物を交互にみてしまう
“えっ!えっ!・・だ、だってこれって・・やっぱそういう意味な訳!? なんで!?なんで日向が・・%#$@?・・・っていうか俺は男だぞ!“ 狼狽えまくって、言葉が言葉なだけに条件反射で顔が赤くなってしまった。 「あ、あいつ、壮行会に出なかった仕返しにこんなもん送ってきたんじゃ・・・!?」 からかうにも程がある!と怒りかけて ふと、そういえばもう一枚紙切れが入っていたのを思い出す。 その紙切れにも何か書いてあるなと思い封筒から出してみた。 願わくば松山光と競い、そして共に戦い続けたい そして生涯を伴にありたい 日向小次郎 「なっ、こ・・れ・・・!!・・うそ、マジ・・・か・・よ」 目の前が歪んだかと思った時には、手紙に大粒の雫をいくつも落としていた。 ドクンっと鼓動が跳ねるのがわかった、頭ん中が真っ白になって・・・ 呼吸が上手く出来ない・・・、一気に溢れ出てくる涙・・・。 信じられなかった、なんでこんな紙切れに書かれた言葉を読んで こんなにも涙が溢れてくるのか・・・。 気付かなかった、俺の中にこんな感情が、思いがあったなんて・・・。 今まで何故、気付かなかったのだろう・・・ まさかこいつに気付かされるなんて・・・ 認めてしまおう、少しばかり弱いかとは思うが・・・。 「ちょっとばかしムカツクけど・・・」 認めた途端、壮行会にいきたくないなぁと思い欠席に○をした理由が解った。 情けないことに離れたくなかったんだ、日向と・・・ 手紙とは別に書き綴られていた言葉に、日向の想いが全て詰まっていて それが俺の心に、抵抗もなく素直に溶け込んできた。 俺も日向と同じ意味で・・・日向の事が好きなんだ。 「それにしても、どっから・・・こんな自信が・・・。俺が受け取らないかも とか考えないのかなあいつは」 瞳からはまだ、涙が零れていたが手紙と一緒に送られてきた物をみて つい、悪態をついてしまう。 これからも競い、共に戦い続けたい 俺は、あの馬鹿にライバルと認められた。 そして、生涯を伴にしたい 同時に、プ、プロポーズされちまった・・・////////////。 「あぁ〜もうマジ、ムカツク!」 悪態を吐きながら、俺は手の中に有る物全て抱き締めていた。 少し収まりかけていた涙がまた零れた、と同時にクスリと笑ってしまった。 いいんだよなこんな時は、自分の気持ちに正直になって。 ・・・嬉しい、こんなにも日向の存在が近くに感じる事が・・・ 「これ見たら日向ビックリするかな、それとも当然だって顔するのかな」 送られてきた指輪をはめてみた、サイズはピッタリだった。 直ぐ返事をしたら当然だと返ってきそうなので少し困らせてやりたくて いつ頃返事をしてやろうと、カレンダーをみた時、あっと思った。 この手紙とは別に入っていた紙切れの正体が解った。 「そっか、これ短冊だ・・・、うわぁ〜、気障ァ〜っていうかよくこんなこと 考えつくなぁ〜」 笑いがこみ上げてくる、どんな顔をしてこれを書いていたんだろう。 七月になったばかり。 七月七日は七夕だ。 「返事をする日が決まったな、俺も日向の思いつきに乗ってやろうじゃないか」 七夕は年に一度、彦星が天の川を渡り、織り姫に会いに行くのだ。 七夕が来るのが待ち遠しい! 俺が選んだ日向へ返事をする手段、いいアイデアだと思う。 俺から日向へ初めての国際電話。 でもそれまでに色々考えなきゃ、どんな風に話を切り出してやろうか。 絶対に驚かせてやりたい!! 七夕までのこの数日はとても楽しい日々が送れそうだ。 終わり 松岡広子様より七夕のおはなしです!! しかし、まゆは最悪なことにこのすてきなお話を1年間も手元で熟成させてしまいました・・・。ごめんなさい広子さん・・・。 広子さん本当にありがとうございました!!!!(05.07.07) |
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