フレグランス |
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「御疲れさま。日向くん」 「そうそう、日向くん。早速なんだけど、新しい仕事が入ったの」 今でこそファッション雑誌を彩る存在になっている日向だが、香水などの「たしなみ系」は、とても自分のイメージではない。 三杉とか若林とかならともかく、どう考えても、自分よりも相応しい人間はいるはずだ。 「その新しい香水がね、セクシー且つワイルドなイメージなの。どう?あなたにピッタリだと思って引き受けたんだけど」 「えっ!!引き受けちゃったんッスか!?」 「その打ち合わせが明後日だから、お願いね」 日向に資料を渡し、松本女史は軽やかに去って行った。 「ちょっ・・・香さん、俺嫌ッスよ・・・!」
「日向さんの最近の活躍ぶりは目を見張るものがありますね。どこを見回しても日向さんだらけで・・・。」 日向は現在今住んでる東京のアパートに、タケシを無理やり呼び出した。 さすがに、現役のJリーガーとしてめざましい活躍をしている東邦メンバー達を呼ぶわけにもいかず、まだ高校生のタケシに白羽の矢が立ったのである。 「明日も撮影がある。あー考えるだけで気が滅入るぜ」 「香水・・・ですか・・・・」 タケシはそれ以上何も言わない。だが、10年目をかけてきた(?)愛弟子の考える事など師匠はお見通しだった。 「わぁってるよ。お前が言いたい事ぐらい。仕方ね-だろ。香さんが取ってきた仕事なんだからよ」 ひゅ、日向さんが香水・・・。昔の日向を知っているタケシにとって、想像するのは困難であった。 「出来上がり・・・楽しみにしてます」
いよいよ撮影当日。その日の朝からスタジオに入り、撮影が始まる。 「日向くん。もっと目線下げて」 「違うよ!もっと鋭い視線をくれ」 ぐぉぉぉぉぉ!!!俺はプロのモデルじゃねぇぇぇッ!出来るかァーーーーッ!!! 「あっ、いいねぇ。その表情。ギラギラしてて獲物を狙う獣みたいでv」 自分に向けられた憎悪など微塵にも感じていないのか、カメラマンはシャッターを押し続けた。あるいはものすごいプロ根性の持ち主なのかもしれない。 「うん。いい写真取れたからちょっと休憩しよう」 「何逃げてんだ?」 「俺こんな仕事向いてないって最初に言ったじゃないですか」 日向は今日何度目かの溜息をついて、コーラを一口飲む。 ちゃっちゃらっちゃらっちゃらっちゃ ちゃっちゃらっちゃら〜♪ 本日7回目のミッキーマウス・マーチがスタジオに流れ出した。 日向は画面を見ずにボタンを押して、耳に電話を当てる。 電話の向こうからはちょっと怒った男の声。 「松山。てめぇ何逆ギレしてやがる。俺は今仕事中なんだよっ!お前いつも、いつもしつこく電話掛けやがって・・・。留守録にメッセージ入れるとか何かあるだろうがよ!」 「そう言って、てめー1度でも電話掛けてきた事あるかよ?てめーが出ないから何度も掛けてるんじゃねーか!!」 どちらが先にキレて、どちらの言い分が正しいのか微妙なところだが、殆ど怒鳴りあいの電話はしばらくの間続いた。 それで、何とか冷静さを取り戻した日向はひとつ咳払いをして電話の向こうの人物に問い掛ける。 「で?何だよ用件ってのは」 ここまで辿り着くのに10分も擁してしまった。 「俺さー、次節国立で試合なんだ。で、前の日から東京来てるから一緒に飲もうぜ」 「お前急に言って俺に予定が入ってたらどうするつもりだったんだ?まぁ、その日は今のところ予定が入ってねーからいいけどよ。今からまた仕事あるからまた電話かける」 ぷちっ 松山の返事を待たずに電話を切る。これ以上電話をしていたら1時間は話し込んでしまうのは目に見えている。(過去何度も経験しているらしい) そしてすぐに撮影が再開された。 「日向くん、すごくリラックスしてるね〜。もう1カットいくよ」 松山から電話があった後時々遠い目をしている日向に撮影の関係者は一部見ないふりをしたが、カメラマンはその恍惚とした表情を撮り続けた。 その後撮影は順調に進み、予定よりも早く終了した。
「そーいえば昨日何の仕事だったんだ?」 ぷちっ ぐんぐーーーーーーん 諦めのような感情が一気にしぼみ、同時に怒りのゲージがMAXになる。 「ほう、シャワーも浴びずに寝ちまう奴に言われる筋合いは無えな!」 ・・・(以下省略) 「てめーなんて、さっさとイタリア行っちまえーーーーーーーーーー!!」 ぶちっ つー つー つー つー 「あ・・あの野郎ーーーーーーー」 その後、本能というキャッチコピーが付けられた香水のCMは、 若い女性と一部のお兄ちゃんたちの熱烈な支持を集め、日向はその後抱かれたい男ランキング上位を占める存在にまでになった。 もうゼッッタイに香水の仕事なんてやらねぇぞ!
そらまめ様より素敵なお話をいただきました♪ 2000ヒットでいただいたリクエスト「クサイ日向さん(笑)」のそらまめ様バージョンです。まゆのあほ漫画とネタは被ってるんですが、もうもう!!!このお話のほうが素晴らしいです!!! いや〜、リクこたえてみるもんですね(笑)。それでいただきものできるなんて、ラッキー♪ 久しぶりにカッコイイ日向さんを目指して、広告ポスターにチャレンジしてみました。セクシー・・・編かなぁ?? やっぱり思ってるのと違ったりして、なかなか難しいモノです。 きっと松山は、これみて笑い飛ばしてくれるでしょう。 そらまめさ〜ん、こんな挿し絵でごめんなさい〜。また懲りずに送ってくださいね☆(01.05.16) |
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