高階碧さまより 3

 
 


!!!御注意!!!

このお話&挿し絵につきましては、大人向けとなっております。
(とくに、まゆ、あんたの挿し絵ってば・・・;;)
恐れ入りますが、こういうものが苦手な方、みてはいけない年の方は御遠慮下さいませ。


もうもう、全然オッケー♪
なにをみても苦情等おっしゃらない、という方はどうぞ碧様の素敵な世界へどうぞ〜〜。


 己の存在を、その気配を消し去ることなど、日向にとっては造作も無い仕儀であった。自身、用心棒として雇われた娼館にあり、最も重要とされるその身の護衛を務めるに当たっては、その程度のことは叶わなければ無能とすら罵られただろう。さればこそ。
 日向は己の拳を、血が滲むほどに握り締め、隠し部屋のその扉の隙間から伺っている。客と彼との時間を台無しにすることは日向の務めに反した。けれども、自分とて感情も感慨も持たない木偶ではない。日向はぎり、と奥歯を噛み締める。
 薄暗い隠し部屋に漏れこんでくるのはどこか華美とすら思える電灯の漏光ばかりではなく、耳を塞ぎたくなるような、そう、そんな艶かしい睦言であった。
 彼は変わってしまったのだろうか。
 日向は歯を食いしばって堪えた。あの事件以来、彼とまともに顔を合わせたことなどついぞなかった。
 こうして、ただ相手との距離を思い知らされる日々が続いていた。
「・・・んんッ・・・や・・・アッ」
「・・・それで、頭取は何、と。どこに出資するつもりだと?」
「何でも、満鉄の株が、どうとか・・・ああッ!」
 ふむ、と何やら客が思案する声と同時に、酷く艶めいた嬌声が日向の足元へと転がり込んでくる。くちゅり、という濡れたような淫靡な音と共に。日向にも聞き慣れた声が快楽に震える。
 隙間からつい伺い見たその先では、矢鱈に目映い室内の中で組み敷かれる、見知った姿が見つけられた。大きく足を開かされ、その間に、男の体躯を受け入れている。客は、帝国陸軍の軍人と聞いていただろうか、彼は別の男娼に執心だったのではなかったのか、日向は目を細めた。
 深く貫かれたらしいその身体は目に見えて上気し、掴み上げられた大腿は仄かに震えている。高く掲げられた爪先も。


「松山、それで?」
「・・・だから、絶対に、満州に拠点が必要なんだって聞いた。関東軍に占拠される前に同志の・・・」
「・・・なるほど。まず金で買収しようというわけか」
 ご褒美だ、と言わんばかりに、男はいよいよ深く穿った。松山の端整な眉宇が険しく曇る。尤も、それは日向にとて苦痛でないことなど容易に見て取れる。松山の指先が屈強な肩に爪を立てていた。
 男の唇は、溢れ出した松山の涙を拭っていた。日向は噛み切るほどに唇を食い締めた。
「・・・ッ」
「あああっやあ・・・!」
「他には?そのサロンには他に誰がいた?張将軍と、有限公司の支配人と、それと・・・?」
「日産、コンツェルンの・・・」
 松山は皆まで応えられない。彼の白い首はしなやかに仰け反り、男の目の前に晒されている。そこには紅い花が散っていた。目に眩しい、毒々しいような痕だと日向は息を飲んだ。そして目の前でその蕾はまた一つ開かされていく。
「・・・あ・・・ぅ・・・」
「日産コンツェルン?日本のか?・・・なるほど」
 読めてきた、と男は言おうとしたのだろうか、彼はその先は声に乗せなかったが、日向は眉を寄せた。客は甘く打ち震える細い腰を抱き寄せ、男自身のそれへと乗り上げさせた。半ば力づくで抱き寄せられた松山は一瞬息もつけなかったらしく、大きく目を見張り、そして彼の下腹を濡らした。ふ、と笑う傲慢な男の声が、日向には酷く気に触った。
「我慢できないのか?」
 爪を立て、首に齧り付いて来る情人の様子をその体躯で感じ取れば、そのようなこと訊かずともわかるだろうに。男は敢えて問い掛けている。かくり、と項垂れるように縦にされる松山の首。彼は泣き濡れていた。日向の見知らぬ、この上ない艶めいた表情には違いなかった。
 松山の爪が、男の背に赤い線を幾つも刻み付けていた。
 つまりは、その数だけ深さだけ、男に良いようにされたと言うことだ。
「・・・・・く」
 日向は口元を覆い、つい溢れそうにもなる罵声を飲み込む。私情を持ち込むべきではない。自身の務めにあって、平静がいかほど大切か、日向は知り尽くしているつもりだった。
 目の前で繰り広げられる痴態からは目を背けた。背けなければ、自身は足を踏み留めていることは難しかっただろう。日向はどす黒く血の滲んだ己の掌を見下ろし、同じ傷跡でも随分と違うものだと、不意に笑った。
 耳を覆うことはできなかった。
 全ての注意を彼からそらしてしまうことは、それは怠慢にも違いなかっただろうから。
「・・・ぅんんんッ・・・・」
 濡れた音が立て板一枚隔てたこちらまで無遠慮に押し入ってくるものだと日向は恨んだ。松山は鳴いていた。心地良さげに。彼は覚えてしまったのだろうかと、日向は思う。
 男によって与えられる快楽を。
 日向の耳に親しんだ彼の声には、その色は顕著に認められた。
 随分と睦まじいことだと日向は皮肉った。あれほど嫌がっていたのではなかったか。男相手に身体を売る商売などと。乱暴に髪を掻き乱し、染みの落ちた土埃のする床を眺めた。
 耳にするだけで毒だと、日向は掌を握り締めていた。
「・・・あああっ」
 松山、と男はさも愛しげにその名を呼ぶ。そんな風に呼んで良いのは男ではない。
 日向は小さく吐き捨てた。
「どいつもこいつも」
 それにしても。
 日向は顔を上げて、不意に顔を顰めたのだった。
 閨の睦言にしては随分ときな臭い話ではないか。
 瞬時、血の気が引く思いがしないではなかった。今にも立ち上がろうとしてしまう足をどうにか押し留め、中を伺った。別段、取り立てて何が不自然と言うわけではない。普通の、ただの閨事だった。客は慈しむように松山を抱き、松山はそれに応えるだけ。けれども。
 日向は目を眇め、その男の方を見据えてしまった。
 傍らに投げ出された祖国の軍服が、奇妙に胡乱に、疎ましく見えたような錯覚を覚えていた。








きゃああああああああああ!!!
 私は、碧様よりこのお話をいただいて、体中の血液を吹き出しながら絶叫し、出血多量で一度死んできました(笑)。もうもうもう大興奮っすよ!!
デバガメ日向さん(笑)に乗り移って、情事を覗いてイケナイ気持ちになってしまいます。
 いや〜ん、若林大尉ってば冷静にお仕事なさるのかと思えば、松山食っちまってますね。うふ。
 すっかり大尉の思うつぼな松山もめっちゃ可愛いです・・・・・。ふふふふ。
 しかし、日向さん、ほんとによく頑張りましたね(笑)。偉いエライ!!!!

 もともとがこういうの大好きな人なので(吐血)、碧様!!!!まじうれしいです〜〜〜〜〜!!!
 ああ、ほんとに愛してます碧様!!

 そんでもって調子にのって、また挿し絵二枚もつけちゃってスイマセン・・・・・;;
 頑張って大尉かかせて頂こう♪と気合いいれすぎてしまって、ほんとにもう、単なるエロ絵になってしまいまして・・・・・・・・・・・・・(投獄決定)。
 だ、だめだったんですよ・・・。まゆにこういう話与えちゃ・・・・(いや、本人は歓喜に打ち震えておりますがvvv)。
 ああ、いいんだろうか・・・こんなエロエロを碧様のお話につけちゃって;;
 ごめんなさい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。楽しかったデス;;(本音)
 
 えっとですね!気を取り直して!!
 次回は松小次だそうです〜〜〜〜!!
 皆様お楽しみに!!(ワタシが一番楽しみです〜〜〜〜!!!!)
  (01.12.08)