6月21日午前0時。
全国各地からいっせいに、同じ番号がダイヤルされる。
『なんでつながらないんだっ!!』
『松山・・・誰かとはなしているんだろうか・・・』
『おっかしいな〜、絶対この時間ならいるはずなのに』
『・・・・・・・・』
『なんででえへんのや〜松〜!!!』
『松山君寝ちゃってるのかなぁ』
『もう、ひとり三分以内にしてよ〜、僕だっていいたいんだからっ』
『松山さ〜ん!!』
かけてもかけても話し中。
受話器の向こうは無機質なツーツー音が響くばかり。
たった一言、
「誕生日おめでとう」
と伝えたいだけなのに・・・。
まあ、朝になってからでも21日は始まったばかりと思いつつ、やはり早く祝いたいという気持ちが、何度も何度も彼等の電話のリダイヤルボタンを押させることになる。
松山へのホットライン。
この時間幸運にもこの回線の先にいたのは、やっぱりあの人なわけで。
「こんな時間に電話なんかかけてくんじゃねえよ・・・・」
「こんな時間ってまだそっちは12時まわったばかりじゃねえのかっ?おまえはお子様か?」
「うっせーな。早寝早起きが健康のためにいちばんいいんだよ。たっぷりの睡眠がなっ。それを遮られてんだから愚痴の一つもいいたくなるってーの」
「あ〜、そーかよ!悪うございましたよ」
「で、用はなんなんだよ・・・。国際電話ってたけーんだろ?」
「・・・っていうか日付かわったから電話してんだろうが・・・」
「はあ?何、ちゃんとお前も時差計算できんだな〜」
「あのなぁ・・・。俺だってそんなに暇じゃないんだぜ?」
「そうでしょうとも。なんせあのセリエAはユベントスの日向小次郎サマですもんね〜っ」
「ふざけんな・・・。おい、松山わざとはぐらかしてんのか?」
「何を?」
「しょーがねーなー・・・・・。誕生日おめでとう、松山」
「・・・・あぁ、そっか。それで日向サマがわざわざ電話してきたわけね・・・」
「おまえなぁ。最愛の恋人からのラブコールにそれはないだろうよ」
「最愛って部分はどうだろう」
「とにかくだ。お前の誕生日、一緒に祝えねーから電話した」
「別に一緒に祝ってもらう年じゃねーし。まあ、わざわざありがとよ」
「おい、それだけかよ〜」
「他になんていえと?」
「うれしいっ、小次郎愛してる、とか」
「ば〜か。なんでそんなん言わなくちゃいけねーんだよっ」
「俺はいくらでもいえるぞ。光っ、愛してるっ」
「なんか簡単に言われても、言葉の安売りみたいでなぁ。重みがねーんだよ」
「・・・くそう、お前の側にいれば体で思いを伝えてやるのによっ。泣くほどなっ」
「あ〜、ほんとにお前がいなくてよかったよっ。なんで自分の誕生日にお前の欲望につきあってやんなくちゃいけねーんだっつーの。それよりプレゼントは?なんかくれるんだろ当然っ」
「今度帰国するからそんときに」
「ふーん・・・。『俺』とかいうなよ?」
「えっ?」
「あのなぁ・・・。わかりやすすぎんだよっ」
「じゃあ、今何が欲しいんだよ」
「うーん・・・・・。あえてそーいわれるとなぁ・・・」
「でもよー、松山もファンとかから色々貰うだろ?」
「そうそう、今日・・・っていうかもう昨日だけどさ。札幌まで取りにいったよ。チーム付で送ってくれるからさ。うれしいよな。小学生とかのサッカー少年とか手紙かいてくれたりして。とりあえず手紙ともって帰れるもんだけ家にもってきた。あとは荷造りして別送だよ。俺なんかがこんなにもらっちゃっていいのかなぁ・・・」
「まあ、お前もてるからな・・・男にも女にも子供にも年寄りにも・・・」
「へ?」
「いや、なんでもねえ。それより、手紙・・・男からも多いだろ?」
「え?ああ。サッカーやってる人とかな。日向、お前だってなんか野郎だけの親衛隊みてえのあるじゃねーか」
「その話はあまりしたくねえ・・・」
「やっぱり人から贈られるものって、それがなんであれその人の気持ちがこもってるからさ。すっげえ、うれしい」
「ああ、そうだな」
「ほんと金すげーかかるぜ?そろそろ俺寝るわ」
「そうか。じゃあ明日飲みすぎんなよ。どうせみんなと宴会だろ。また電話する」
「あのさ・・・日向・・・。その・・・電話・・・ありがとよ」
「ああ」
「・・・・プレゼント楽しみにしてっから・・・・」
おたんじょうびおめでとう!松山くん!!!
このお話の続きを、入江黄菜子様より頂きましたっ。是非是非よんでみてくださいっ!!!!
→→→ 「夏祭り」